【自家角膜移植手術 経緯(2)】 |
「角膜穿孔(かくまくせんこう)」
角膜潰瘍の手遅れ段階、最悪の結末と言われているのが、角膜穿孔。
つまり、進行した潰瘍によって角膜が破れる(穴が開く)ことを意味します。
今回のコタを振り返ると、角膜の傷→角膜潰瘍→角膜穿孔という順で悪化していった印象です。いかに潰瘍がひどくならない内に手が打てるかが重要であり、とにかく軽い症状の間に芽を摘んでおくことが肝要と思われます。眼科医以外で「傷」という診断を受けた場合や白っぽい濁りを発見した場合は、なるべく早く眼科医を受診することを推奨します。
(適切な抗生剤による二次感染防止がとにかく大切)
《コタの病状進行》
①10/31 ②11/2 ③11/3 ④11/4
※写真はクリックすると大きくなります。
⑤11/5
こうやって整理すると、③から④への変化が急速で、且つ悪化の一途を辿ったことがよく分かります。⑤は専門医に向かう途中でしたが、コタ母が医師に見てもらうため撮影したもの。(コタ家では、常に何かあれば写真または動画に残し、医師に確認してもらう習慣があります。今回はパニック状態の中でシャッターを切った1枚が偶然撮れていました。)
角膜に穴が開くと、眼自体が本能としてバリヤを張ろうとするらしく、⑤で飛び出ている細胞の塊のようなものと、写真右下のコートに染みている液体(透明な血液のようなもの)が溢れ出してきます。(穴を塞ぎにいく動きだそう)透明な液体は、勢いよくピューッと噴出したのでかなり焦りました。なお、これらの噴出物は、角膜内側の房室というところにある成分で、眼の主たる構造が飛び出してきた訳ではないから大丈夫だと、診察時にドクターから慰められました。なお、⑤の状況でのコタの痛がりようは、尋常ではありませんでした…(涙)。
こうして角膜穿孔まで進行してしまった場合、講じることが出来る手段は限られてきます。
ドクターより提示されたのは、①このまま放置する②手術を行う(穴を塞ぐ)の2つ。当然②を選択することになりますが、①の場合どうなるのか確認はしていません、、、激痛に襲われながら、眼が朽ちていくのを待つということだと思います。
また②手術には、いくつかの方法があります。(病状により採用できる方法は違うと思いますが)
コタに対し、提案されたのは、
A.自家角膜移植手術
B.結膜フラップ手術
という、2つの方法。※いずれの手術も、全身麻酔により行われます。
<A.自家角膜移植>
角膜移植は、年齢が若い場合には奨めているとのことで、簡単にいうと、同じ眼の他の部分から健康な角膜(表面)を切り取り、穴に被せて塞ぐという手術。自分の角膜で、しかも同じ組織構造なので、親和性に問題がなく、最終的な濁り等が極力少なく出来、視力の回復という点でも、以前の状態により近く戻れるというメリットがあります。ただし、これを施術できる眼科医は相当少ないようです。
<B.結膜フラップ>
同じ眼の一部である結膜の一部分を切り取って潰瘍部分を覆う手術。角膜移植に比べ、一般的に施術されていることが多い方法とのこと。術例が多いということがメリットになると思いますが、角膜の濁りがひどく残る(茶色く濁る等)ことが多く、視力の回復という点でも回復度合が低いというのがデメリット。健常な角膜の移植元が確保できない場合(高齢等のケースで)、結膜フラップ手術を行うことになるとの説明でした。
コタの場合、健常な角膜を確保できること、いずれにせよ命懸けの手術となるならば、できるだけ元通りに近い結果が得られる方が良いだろうということで、自家角膜移植手術を選択しました。
眼科のドクターは、コタのワクチンアレルギーの件を心配し、「眼のために命を懸けることはない、失明しても生きていれば…」という考えも話してくれたのですが、激痛に泣き叫ぶコタを放置するという決断は、父母には出来ませんでした。最後の最後まで、ドクターと相談し、全身麻酔による手術を行うことを決意しました。
《原因と再発防止》
今回、角膜穿孔まで至ったそもそもの原因について、今になって特定することは困難ですが、ドクターの診断では、適正な涙の生産性がないことに起因している可能性が高いとのことでした。コタの正常な左目を顕微鏡で観察した結果、一見奇麗に見えても、角膜表面の透明性が低い(つまり荒れている)ことが分かりました。そしてこれは、涙によりガードされていない事実を意味するそうです。今までコタは、通常レベル以上の涙が出ているので、眼を保護出来て良いと言われていただけに、この診断は正に寝耳に水…。どうやら、水分が多いだけでは、本来の涙としての機能を発揮出来ないらしいです。水分・油分・粘液分が適正に混合された状態で眼をカバーして始めて、眼を保護出来ると。重要なのが瞬きで、表面に涙の膜を形成する役割を果たすのですが、コタはこの瞬きも上手く出来ていない…。(コタがというわけではなく、ほとんどの目が飛び出ているワンちゃんに同じことが言えるそうです:個犬差はあると思います)
で、外界に対し涙のガードが不充分な状態で暮らし、且つ表面も弱くなっているため、接触や細菌感染によるダメージを簡単に受けてしまう…。コタの場合、朝起きたら眼がショボショボしていたというのが、今回のトラブルの出発点ですが、夜の内眼を開きながら眠っているために、右目が非常にセンシティブな状態で外に対してさらされ続けて、軽くこすったとか、何かに感染したとか、些細なショックで多大なダメージを被った可能性が高いとのことです。
上記を鑑み、再発防止策として、眼瞼形成手術を行うことになりました。(これが次回の手術)
眼瞼形成は、瞼の一部を縫合し、瞼の幅を狭くする手術。しかし、現在のドクターは、従来の眼瞼形成術を発展させた術法を編み出した方で、コタもそのやり方で手術することになります。その術法の特徴は、下瞼の付け根の角度を矯正して、これまでは達成出来なかった“あるべき場所に涙を溜める”ことが出来るというもの。これにより、本来の、眼をガードするという涙の防御機能が発揮され、外界からの刺激に強くなることが出来るそうです。
※角膜の病気のほとんどは、涙の膜が正常に機能していないことに起因すると考えられています。
※眼瞼形成手術も全身麻酔により行われ、費用の目安は両目で25万円位だそうです。
《応急処置》
今回、コタにとって不幸中の幸いだったと思われるのが、病院に行く途中で角膜穿孔に達したため、角膜が破れた直後に診察が受けられたこと。直ぐに検査をして、応急処置を施せました。
もし、お留守番のワンちゃんがこの状態に陥ったら…、考えるだけで胸が苦しくなります。
訊けば点眼薬を繰り返したとのことなのですが、数時間後には血溜りで穴が塞がれたような状態に落ち着きました。明後日の手術が決まり、この日から入院という話もあったのですが、翌日が休診日でもあり、痛みを経験して恐怖感でいっぱいであろうコタを病院に置いていくことに抵抗があり、自宅に帰った方が完全看護が可能であるとも思い、一旦家に連れて帰ることになりました。そのため、全身麻酔により、眼球保護のため瞼を仮縫合するという処置が採られました。
今思うと、移動によるリスクはあったものの、このとき自宅に帰ったのは正解だった気がします。ごはんも食べ、排泄もすることが出来ましたし。何よりも父母にベッタリくっついてくるコタを見ると、淋しい思いをさせる日を1日でも少なく出来て良かったと思いました。また、人間でいえば手術前の外泊のようなこの帰宅中、点眼と内服薬による治療を行いましたが、手術当日の検査で、ドクターから「自宅でしっかり治療してもらえたので、だいぶ落ち着いた」と言ってもらえたことが、連日の壮絶な経験の中で、父母にとっての救いでした。
<検査・応急処置の治療費明細>
次回の角膜移植カテゴリは、「自家角膜移植手術」をUP予定。
今回は、本当に急激な悪化だったのですね。
写真、痛々しくて胸が詰まる思いです。
ビーも、逆さまつ毛とドライアイで、目薬が手放せません。
目が大きいので、寝ている時も、まぶたがくっつかない時があります。
やっぱり、それってよくないんですね。
う~ん、どうしたものかなぁ。
コタくん、早く傷が治りますように。頑張って下さい!
衝撃映像ですね。
父、母sama、お辛かったですね。
頑張ってください。
エールを、送りつづけます。
長い目で見れば徐々に、ずっと注目している父母からすると急激に元気を取り戻してきています。
とは言っても、手術前と比べると、まだまだ、ですけどネ。運動不足で、体力も落ちているように見え、それも心配です…。
病院で会った黒パグくんが眼瞼形成術を受けたとのことでお話を伺ったのですが、就寝時の眼の開きについては、術後改善はされたものの、完全に閉じてはいないということでした。眼科医の話を聞いていると、ほとんどのパグっ子は一般的に言われるドライアイ状態みたいですヨ。コタの場合、角膜移植したとしても、一度こうなった以上再発の可能性があるわけで、抜本的な改善(角膜保護が急務)が必要ということで施術しますが、予防という意味だけで施術するのは、全身麻酔を考えるとなかなか踏み切れるものではないと思います。こまめな点眼がやはり基本なのでしょうが、しつこいですが(笑)、気になったら直ぐ専門医へ。
応援ありがとうございます。
これらの画像については、UPしたものかどうか迷いましたが、コタをこんな目に遭わせてしまった自らへの戒めの意味と、他の飼い主さんに、一気に進行する、大変なことになるという実際を、肌で感じて欲しいと考え、使うことにしました。ホント、他のワンちゃんがこんなことにならないよう、祈るばかりです。
穴が開いたときは、一番辛かったのはコタだと思いますが、コタ母のパニック振りも凄かったです(涙)。
頑張りますよ~。
kotamamaさんも、無理なさらないように…。
ありがとうございます。
痛々しいですね(´;ェ;`)ウゥ・・・
車中でこんな状態になったなんて、本当にびっくりされたことでしょう。
病院へ着くまでが長~く感じられたでしょうね。
改めて、コタくんよく頑張ったね!
すばらしい先生に診ていただけてよかったですね。
最高の技術をお持ちの先生なんですね。
いざという時のために眼科専門の先生をさがしておかないと…
コタくんの回復を祈ってます。お大事にネ。
コタは体調上向きだと思うのですが、今日は寝てばかりいます…。
とはいっても、術後2日あたりとは、雲泥の差があります。
病院まであと一歩だったのですが、今思うと、コタは何とかギリギリまで我慢してたのかなぁなんて考えますね。
現在の眼科のドクターは、獣眼科医のブラックジャックと呼んでもいいのじゃないかという位、スゴ腕でしたネ~。コタは、今後目の病気に関してはずっとお世話になると思います。(家から遠いですが)
お見舞いありがとうございます!